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あかお歯科ブログ BLOG

【インプラント症例】70代 男性「歯がグラグラして食事ができない」インプラントと入れ歯で噛み合わせを再建した症例

項目 内容
治療内容 上下の噛み合わせ再建治療
・抜歯/インプラント撤去
・下顎へのインプラント埋入
・インプラントオーバーデンチャー/金属床義歯の作製
・右下3番のセラミッククラウン装着
年齢 70代
性別 男性
期間 1年半(治療回数90回)
費用(税込) 1,200,000円
リスク・副作用 ・インプラント埋入手術に伴う出血や腫れのリスクがあります。
・入れ歯の調整期間が必要です。

1. 患者さんのご紹介(主訴・お悩み)

70代男性の患者さんです。当院の前をよく通られていたことをきっかけに、ご来院いただきました。

「歯がグラグラして食事がしづらい」とのお悩みがあり、特に食事の際に噛みにくさを感じておられました。お口の中を確認したところ、複数の歯に動揺がみられ、全体的な噛み合わせやお口の環境にも影響が出ている状態でした。

2. ご来院時の状態と診断

お口の中を拝見したところ、右下の奥歯に他院で入れたインプラントがありましたが、これがグラグラと大きく動いており、食べ物が噛めない状態でした。さらに、左下の奥歯がない状態を長期間にわたって放置されていたため、奥歯で支えることができず、噛み合わせのバランスが崩れる「咬合崩壊」を起こしていました。

上の前歯もグラグラしており、歯を失っている箇所が多い状態でした。具体的には、右下4〜7番、左下4〜7番、右上5〜7番、左上6〜7番に治療が必要な状態でした。
診断の結果は、重度歯周炎、下顎右側インプラント周囲炎、および広汎な歯の欠損です。

過去にインプラント治療を受けたものの、その後の定期的なメンテナンスの重要性が十分に理解されておらず、ご自宅でのケアや歯医者での専門的なクリーニング(プロフェッショナルケア)が行き届いていなかったことが原因と考えられました。

【コラム】咬合崩壊とは

むし歯や歯周病、または歯が抜けた場所を放置することなどが原因で、お口全体の噛み合わせのバランスが崩れてしまった状態のことです。奥歯で正しく噛めなくなると、残っている前歯に過度な負担がかかり、さらに歯を失う悪循環に陥るおそれがあります。

【コラム】インプラント周囲炎とは

インプラントの周囲に起こる歯周病のような病気です。インプラントの周りにプラーク(歯垢)が溜まることで細菌感染を起こし、歯ぐきの腫れや出血、進行すると、インプラントを支える骨が溶け、インプラントが脱落する可能性があります。

3. 治療計画

今回の治療では、重度歯周炎の歯を抜歯し、右下の脱落しかかっていた古いインプラントを撤去することといたしました。

その後の治療法として、歯がない部分のすべてにインプラントを埋入する計画を立てると、相当な本数が必要となり、費用面だけでなくお身体への負担も大きくなります。そのため、少ない本数でも噛みやすさの改善を目指した『インプラントオーバーデンチャー』をご提案いたしました。

具体的には、下顎に2本だけインプラントを埋め込み、それを支えとした部分入れ歯を作る計画です。すべてをインプラントにしなかった理由として、以下の2つのポイントがあります。

①歯肉の形態的理由

歯周病によって歯ぐきが下がっていたため、すべてをインプラントのみで補おうとすると、不自然に大きな歯の形態になってしまいます。これにより、発音時に空気が漏れるなどの問題が発生する恐れがありました。これを根本的に解決するには歯肉移植などの外科手術が必要になり、患者さんの身体的負担が大きくなります。

②将来的な修正のしやすさ

治療開始当時の年齢(70歳)を考慮すると、今後も他の天然歯が抜けていく可能性が想定されました。将来的に変化があった場合でも、部分的な改修や修理で柔軟に対応しやすい入れ歯を採用する方が、長期的な視点で見て患者さんの将来的な変化にも対応しやすいと判断いたしました。

さらに、上顎にも金属床義歯を作製して装着し、右下3番の歯にはセラミッククラウンを被せることで、見た目にも配慮しながら、上下全体の噛み合わせを整えていく計画といたしました。

【コラム】インプラントオーバーデンチャーとは

数本のインプラントをあらかじめ顎の骨に埋入し、それを支えとして利用する入れ歯治療です。通常の入れ歯と比較してガタつきやズレが起こりにくい傾向があり、噛みやすさの向上が期待される治療法です。

【コラム】金属床義歯とは

入れ歯の土台部分に金属を使用した入れ歯のことです。一般的なレジン(プラスチック)製の入れ歯と比較して薄く作製できるため、装着時の違和感を軽減しやすい傾向があります。また、金属は熱を伝えやすいため、食事の温度を感じやすい点も特徴です。適応はお口の状態によって異なります。

4. 治療時(手術当日)

手術当日は、患者さんが落ち着いて治療を受けられるよう準備を行いました。当日の流れと治療のポイントは以下の通りです。

①衛生管理に配慮した環境整備

床の拭き上げや各種機器の被覆を念入りに行い、衛生管理を徹底した手術室を準備した上で実施いたしました。

②当日のスケジュール

まずは約30分間かけてお口の中の丁寧なクリーニングと麻酔の処置を行いました。その後、準備の整った手術室へ移動していただき、手術自体は約1時間で終わりました。

③術後の対応

手術終了後は、CT撮影を行ってインプラントが計画通りの位置に埋入されているかを確認し、患者さんへ当日の状態を説明いたしました。大きなトラブルもなく、スムーズな流れで進行いたしました。

手術後は治癒期間を経て、計画通りにインプラントを軸としたオーバーデンチャーを作製しました。

上顎にも金属床義歯を装着、右下3番の歯にセラミッククラウンを被せる一連の治療を進めていきました。

5. 治療後・予後

治療が終了し、上下の噛み合わせがしっかり再建されたことで、患者さんは以前より食事がしやすい状態となりました。
この治療から10年以上が経過し、患者さんは80歳を超えられました。ご家族の介護などが重なり、一時期は定期的な通院が難しかった時期もありましたが、現在まで大きなトラブルなく経過しており、噛む機能の維持が図れています。
10年が経過した現在、長年のご使用により入れ歯自体が古くなり傷んできたため、上下の入れ歯を新しく作り直す予定です。患者さんの状態に合わせた治療計画により、長期的な機能維持につながったと考えられる症例です。

当院では、患者さんの年齢やライフステージを考慮した治療計画のご提案を行っています。歯がグラグラして食事が楽しめない方、噛み合わせが崩れてお悩みの方はぜひ一度当院へご相談ください。

監修:あかお歯科医院
院長 赤尾聡一

【所属学会・スタディーグループ】
日本口腔インプラント学会
日本歯周病学会
一般社団法人日本床矯正研究会
一般社団法人 日本小児矯正研究会

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